ブログ運営と収益化
今回は今までブログ運営をしてきて一度も触れてこなかったウェブメディアの収益化の話を書きたいと思います。マネタイズの話は話題になりやすいですが、運営の舞台裏を晒すようでテックブログが記事内で扱うことでもないと思い触れてきませんでした。しかし、悪質なWeb広告の問題が社会的に問題視され、Chat AIの登場で人々がブログやWebメディアで調べ物をしなくなり継続的なWeb運営というものが非常に難しくなってきた今、独自ドメインでメディア運営をする際に避けては通れない収益化について少し書きたいと思いました。
なお、この記事では日本の商取引や法制度に関する話題を多く扱っています。日本国外では事情が異なる場合がありますので、その点をご理解ください。
Webメディアを支えた広告の功罪
当ブログはご存知の通りGoogle AdSenseによる広告を掲示しています。その収益でサーバー代やドメイン使用料を支払うことで、赤字にはならずに運営してこれました。これには本当に感謝しています。当ブログのような弱小ブログでは収益は大したことないですが、Web広告がIT事業を大きく成長させることに貢献してきたことは間違いないと思います。広告収入を当てにして多くのサービスやWebメディアが生まれました。一方で
- 低俗かつ悪質なWeb広告が増え社会問題化
- 広告収入目的の質の低い記事が乱立
- AIチャットの登場で検索による流入が減少し広告収入の減少
- 収入減少を補うため広告だらけのメディアが増える
という状況で広告とメディアの関係も変わりつつあると思っています。かつてWebメディアを支えた広告は今やコンテンツを邪魔する迷惑な存在となりメディア運営側は「有料会員になれば広告を消します」と言い、ユーザー側はADブロックなどで対策をする始末です。
独自ドメインのブログを運営するための模索
当ブログもリニューアルにあたり読者に気持ちよくブログを読んでいただくために広告の数を大きく制限しました。収益が大きく減る中で持続的にブログを続けるために筆者に与えられた選択肢は以下でした。
- 広告数を増やす
- 独自ドメイン運営をやめてnoteやZennに移行
- 有料記事を販売する
- 支援者が投げ銭できるようにする
広告数を増やして読者の方が煩わしく思うのは情報を届けるメディアとして避けたかったですし、独自ドメインからの撤退は自作のブログシステムまで作成して育ててきたブログを手放すことですので、選択肢としてはあり得ませんでした。筆者は数々の自由なソフトウェアやオープンソースプロジェクトに助けられてきた恩返しがしたくてブログを書いている側面もあるので誰にでも情報を届けたいという思いがあり、有料記事販売も選択肢には今のところありません。
そこで、このブログを応援してくださっている方々にコーヒー代をご支援していただくのはどうだろうか?とクリエイターへの支援システムに着目しました。今回導入したKo-fiはその試行錯誤の一歩ということになります。大手プラットフォームに依存せず独自ドメインを持ち運営する弱小ブログが生き残るために出した答えです。
Ko-fiとは
Ko-fiはクリエイターを支援するための支援プラットフォームです。クリエイターにコーヒーをご馳走するような気軽さで支援できることを売りにしています。Ko-fiにとても良く似たサービスにBuy Me a Coffee(BMC)があります。どちらもとても有名でテック系クリエイターに人気のサービスです。両者は非常に似ているサービスですが、大きな違いは決済システムと手数料です。Ko-fiとBMCの違いを簡単に整理すると以下のようになります(2026年6月時点)。
| 項目 | Ko-fi | Buy Me a Coffee |
|---|---|---|
| 決済システム | PayPal, Stripe | Stripeのみ |
| 手数料 | 単発の支援のみなら0%で利用可。ショップやメンバーシップ、コミッション機能は5% | 支払額の5% |
| 決済方法 | ログインせず支払い可 | ログインせず支払い可 |
語弊を恐れずに言えば、Ko-fiもBMCも支援者と決済システムの橋渡しのおしゃれなフロント部分を提供しているに過ぎません。肝心な決済に関しては連携した決済システムが行っています。BMCもかつてはPayPalをサポートしていましたが、現在ではStripeのみです。よってKo-fiにStripeアカウントを紐づけしていた場合はBMCへの移行もスムーズにできるということです。
現在では日本国内でもYouTubeやnoteの影響で「投げ銭」が市民権を得て、クリエイターの収入源として定着しつつあります。日本国内も含めクリエイターを支援するサービスは色々ありますが、特にブログ向けの支援として単発の「投げ銭」が可能なものは以下のようなものがあります。
- Codoc: 主にブログのような媒体の有料販売や投げ銭をサポートするサービス
- OFUSE: クリエイターに1文字2円分のファンレターを送れる支援サービス
- Ko-fi: コーヒー1杯分の支援を手軽に行えるサービス。PayPalとStripeが使用可
- Buy Me a Coffee: Ko-fiに似たUIとシステムを提供。手数料は一律5%
上記で上げたサービスに加えGitHub Sponsorsも決済システムにはStripeを利用します(Ko-fiのみPayPalも利用可)。つまりStripeのアカウントがサービスの要であり、Stripeのアカウントを凍結されると多くの支援サービスを利用できなくなるおそれがあります。
Ko-fi導入までの手順
Ko-fi導入の手順は以下の通りです。
- Ko-fiのアカウントを作成
- 決済システムをPayPalにするかStripeにするか決める。両方同時に使うこともできる。
- 使用する決済システムのアカウントを紐付ける。アカウントがない場合は作成する。
- 支払いページのデザインやプロフィールを編集する
- 自分のメディアやブログにKo-fiのリンクを設置する。
Ko-fiのアカウント作成と決済システムの選択はとくに問題ないと思います。特にKo-fiのアカウント作りはメールアドレスさえあればあっという間に作れてしまいます。問題は決済システムのアカウント作りです。特にStripeを選択した場合は、審査で苦労したという声をネットでたくさん見かけました。この点については次の項目で触れようと思います。
作成した筆者の支払い画面

アカウント作成時の注意事項
PayPalはビジネスアカウントの準備を
PayPalのパーソナルアカウントは家族や知人間の送金を想定しているため、不特定多数の人に向けて支援を募る用途としてはPayPalの規約に違反しアカウントが凍結される可能性があります。Ko-fiにPayPalアカウントを紐づける場合はビジネスアカウントを用意しましょう。
Stripeの審査には特定商取引法に基づく表記が大切
ネットでKo-fiやBMCのことを調べるとStripeの審査がなかなか通らないという記事を多く見かけました。筆者がネットで観測した範囲ではビジネスモデルが明確でなく、特定商取引法に基づく表記(以下、特商法表記)がない場合は審査を通すのが難しい印象でした。筆者はそれらの記事を読みあらかじめ慎重に準備したこともあって一度の審査でパスできました。審査基準は明らかにされていないため、Stripeの要求にケースバイケースで対応することが必要だと思いますが、やっておいて良かったと思うことを記します。
- 成果物が明確なサイトの準備: 開発ソフトウェアや執筆したブログを集めたサイトを作りました。
- 特商法表記のページ: 提出するサイトからリンクでジャンプできるようにしました。
- ビジネスモデルの明確な説明: オープンソースでの開発、テックブログの活動のためのKo-fiで支援を募る旨を記しました。
このような活動をしていて、その活動を応援する人々からKo-fiで支援を募る、そのためにStripeを決済システムとして利用したいということを明確に伝えることが大切だと思いました。
特定商取引法に基づく表記の電話番号や住所は省略が可能
個人や個人事業主の中には特商法表記で電話番号が公開されることに高いハードルを感じている方も多いと思います。しかしこれらの個人情報は必ずしも公開する必要はなく、条件を満たせば「要請があれば遅延なく開示する」などの文言で省略をすることが許されています。筆者の場合はStripeには個人として申し込み審査を受けましたが、住所や電話番号は非開示で審査が通りました。
尚、「営利の意思をもち、反復継続して取引を行わなければ販売業者に該当しないので特商法表記は不要」や「支援を受けるだけならば特商法の範囲外なので特商法表記は不要」などの解釈もあるようですが、少なくともStripeを利用する上では特商法表記を求められるのでアカウント凍結などに至らないためにも審査の後に削除などはしない方が良いと考えます。筆者は法律の専門家ではないので、上記の解釈が正しいのは分かりません。
最後に
冒頭でも書いたのですが、今までブログ運営の裏事情のようなものは書いたことがなく、当ブログはブログの収益化を指南するようなテーマを扱うブログでもないために今回のような記事を書くことには抵抗がありました。しかし、10年以上細々と零細ブログを運営してきたものとして、悪質かつ質の低いWeb広告によってかつてWebメディアを支えた広告そのものが毀損されているような悲しさや、広告だけに頼らない運営体制について書いても良いかなと思い筆を取りました。
QiitaやnoteやZennで技術ブログを書くことが当たり前になり、皆がSNSばかり見てブログなど読まなくなった時代ですが、独自ドメインでブログをやっている同志のみなさん。頑張りましょう。この記事が少しでも役に立てば嬉しいです。もしよろしければコーヒー1杯分のご支援をいただけると励みになります。読んでいただきありがとうございます。