Linuxを日常的に使う実験ブログ

Void LinuxにGoogle Chromeをインストールする

 2025-06-01

 2025-06-01

 Linux

今回のテーマは「Void LinuxにGoogle Chromeをインストールする」です。普段はFirefoxユーザーなのですが、インターネット上の動画の文字起しを利用したくてGoogle Chomeを導入することにしました。しかし筆者が使用しているVoid Linuxでは公式リポジトリにGoogle Chromeは存在しません。そこで今回はxbps-srcを利用してGoogle Chromeを導入することにしました。

xbps-srcとは

xbps-srcはXBPS(X Binary Package System)向けのパッケージビルドソースを集めたリポジトリであり、xbps-srcスクリプトによってroot権限なしに仮想的な環境でパッケージをビルドできるシステムでもあります。ビルドの手続きが書かれたテンプレートファイルはArch LinuxのPKGBUILDファイルのXBPS版のようなものです。

このリポジトリにはライセンスの問題で公式リポジトリからの配布が制限されているパッケージのソースも含まれており、Google Chromeもそのような制限を受けるパッケージの一つです。Google Chromeの他にもOracle製JREやNVIDIA製のドライバなどはライセンスの問題からVoid Linuxの公式リポジトリからはバイナリとしては配布されていませんが、xbps-srcによってビルドして使用することができます。

xbps-srcを使う準備

まずはxbps-srcを使うための準備をしましょう。xbps-srcは以下のツールを必要とします。(以下はxbps-srcからの引用)

  • GNU bash
  • xbps >= 0.56
  • git(1) - unless configured to not, see etc/defaults.conf
  • common POSIX utilities included by default in almost all UNIX systems
  • curl(1) - required by xbps-src update-check
  • flock(1) - util-linux
  • bsdtar or GNU tar (in that order of preference)
  • install(1) - GNU coreutils
  • objcopy(1), objdump(1), strip(1): binutils

これらのツールの多くはVoid Linuxをインストールすれば基本的なbase-systemパッケージなどに含まれるものなので、ほとんどの場合は追加でインストールする必要はありませんが、もし入っていない場合は追加しておきましょう。

void-packagesリポジトリのクローンと準備

次にvoid-packagesのリポジトリをクローンしてパッケージをビルドするための仮想的な環境を整えます。

git clone https://github.com/void-linux/void-packages.git
cd void-packages
./xbps-src binary-bootstrap

次に配布に制限のあるパッケージをビルドできるように設定ファイルを追加しましょう。xbps-srcの追加設定はetc/confに追記します。

touch etc/conf

etc/confvoid-packagesディレクトリの中に作成することに注意してください。システムの/etc/ディレクトリとは異なります。お好みのエディタでetc/confファイルの中身を以下のように編集します。

XBPS_ALLOW_RESTRICTED=yes

これでパッケージをビルドする環境は整いました。

xbps-srcでパッケージをビルド

まずはビルドしたいパッケージがあるか確認しましょう。今回はgoogle-chromeパッケージがあるかを確認します。

ls srcpkgs | grep google-chrome

パッケージが見つかったらビルドしていきましょう。パッケージをビルドするにはxbps-srcコマンドを使用します。以下のようにします。パッケージ名は先程確認した名前ですので間違えないようにしてください。

./xbps-src pkg google-chrome

少し時間がかかりますが、無事に終ればビルド成功です。ビルドされたパッケージはhostdir/binpkgs/以下に生成されます。Google Chromeの場合はnonfreeディレクトリの中に生成されますので注意してください。ではインストール作業に移りましょう。

ビルドしたGoogle Chromeのインストール

ビルドしたパッケージをインストールする方法はxbps-installコマンドを使います。

sudo xbps-install --repository hostdir/binpkgs/nonfree google-chrome

これでGoogle ChromeをXBPS管理下でインストールすることが出来ました。xbps-queryコマンドで探すことも可能です。

xbps-query -s google-chrome

以下のように出力されると思います。

[*] google-chrome-136.0.7103.59_1 Attempt at creating a safer, faster, and more stable browser

最後に

今回はGoogle ChromeをVoid Linuxにインストールする方法を紹介しました。ビルド手続きが書かれたテンプレートファイルを見たところDebian/Ubuntu向けのDEBファイルを展開してコピーする作業をしていただけだったので、ビルドの待ち時間は数分程度で非常に簡単でした。ビルド時に何をしているのかを把握するためにもテンプレートファイルは事前に確認することをお勧めします。

この記事が皆様のLinuxライフの少しでもお役に立てたなら幸いです。