Linuxを日常的に使う実験ブログ

Linuxでも使えるバッキングトラック生成アプリJJazzLabで楽器練習が捗る!

 2025-05-08

 2025-05-08

 Linux

Linuxでも動作するバッキングトラック作成アプリがある

最近、ジャズギターを独学で始めました。練習用のバッキングトラックを用意するため、Aldorにドラムを打ち込み、バッキングの演奏を録音しバッキングトラックを自作していました。もちろん、この作業もとても良いギターの練習にはなったのですが肝心のアドリブやスケール練習に入るまでに消耗してしまうことが多くて何か良いアプリはないかと探していました。WindowsやMac向けではBand in a Boxというアプリケーションが有名ですがLinux向けはありませんし、スマートフォンアプリでは有料のiReal Proがありますが、できればPC上で動作し無料のものが欲しいところ。そこで見つけたのがJJazzClubでした。

JJazzLabとは

指定したコード通りに様々なジャンルのバッキングトラック演奏を自動作成してくれるアプリケーションです。Linux専用というわけではないですが、Javaで書いてあるためクロスプラットフォームで動作します。コード進行を自分で指定することができるため、Youtubeなどの動画投稿サイトのバッキングトラックよりも融通が利きます。

また、音楽のジャンルもJazzだけでなくR&B、ロック、ファンクなど様々なジャンルのプリセットが揃っています。プリセットの音源以外にもYAMAHAスタイル形式のファイルに対応しているため、ネット上からダウンロードした音源を利用することも可能です。

また、ループ演奏やメトロノームなどの基本的な機能も充実しており、JazzやBluesなどのアドリブ演奏の練習をしたい方にはとてもおすすめできるアプリケーションです。

JJazzLab紹介画面

特徴

以下に簡単に特徴をまとめておきます。

  • コードを入力するだけでバッキングトラックを生成できる
  • 音楽のジャンルはJazz, Func, Rock, Bluesなど多彩
  • YAMAHAのスタイル形式の音源ファイルに対応
  • プレカウント、ループ再生、テンポ変更など基本的な練習をサポートする機能あり
  • 多言語に対応(日本語にも対応!)
  • MIDI, Audio形式でのエクスポートが可能

インストール方法

ここではLinuxユーザーを対象にインストール方法を解説していきます。Linux環境ではソフトウェア・シンセサイザーとしてFluidSynthの使用が推奨されています。FluidSynthなしでも使用できますが、音色がやや異なります。

FluidSynthのインストール

お使いのディストリビューションのパッケージマネージャでFluidSynthをインストールしてください。Void Linuxの場合は以下のコマンドとなります。

xbps-install fluidsynth

JAVA実行環境の準備

JJazzLabはJavaで開発されておりJVM上で動作するプログラムですので、Javaの実行環境が必要です。もしJavaの実行環境がない場合はopenjdk-jreパッケージをインストールしてください。筆者の環境ではopenjdk11-jreパッケージがインストールされています。Oracle製のJavaでは試していません。

JJazzLabのダウンロードとインストール

公式ページのダウンロードサイトでお使いのディストリビューションにあった形式のファイルをダウンロードします。UbuntuやDebianなどのDEB系をお使いの方はDEB形式のパッケージをOpenSUSEやFedoraなどのRPM系のパッケージ管理のディストロをお使いの方はrpmファイルをダウンロードするとシステムのパッケージマネージャーで簡単にインストールができます。

筆者の環境はVoid Linuxですので、残念ながらどれにも当てはまらないため、tarファイルをダウンロードして展開することにしました。

以下のようなコマンドでダウンロードしたファイルを展開します。ファイルのバージョンは適宜修正してください。

tar -xvf JJazzLab-4.1.2-linux-x64.tar.xz

展開したディレクトリを任意の場所に移動します。今回は~/Application/に移動します。JJazzLub-4.1.2/bin/jjazzlabPATHの通っている場所にリンクをシンボリックリンクを貼ります。今回は~/.local/binにシンボリックリンクすることにします。

ls -s ~/Application/JJazzLab-4.1.2/bin/jjazzlab ~/.local/bin

これでJazzClubのインストールは完了しました。ターミナル画面から以下コマンドでJJazzLabを起動出来ます。

jjazzlab &

JJazzLabを使ってみよう

起動

ではJJazzClubを起動して使ってみましょう。以下コマンドで起動します。

jjazzlab &

起動画面

初期設定

起動後はまず初期設定をしてしまいましょう。メニューの”Tools” -> “Option”を選択することで設定画面が出てきます。まずは言語設定をしてしまいましょう。筆者は日本語を選択しました。英語のまま使いたい方は”English”のままで大丈夫です。その他、テーマは”Dark”と”Lighit”から選ぶことが出来ますし、フォントなどもお好みで変更可能です。

設定画面

コードを入力してみよう

次に簡単なバッキングトラックを作ってみましょう。ここではキーCの循環進行i vi ii vでバッキングさせてみます。まずはメニューから「新しいソング」を選び新規作成します。するとCコードのみが入力されたソングが生成されます。ここで小節を選択した状態で入力をするとコード入力画面を出します。今回は”Am7b5”と入力します。フラットは”b”と入力する点に注意してください。次に隣の第二小節を選択してキーボードで入力するとコードが入力できます。“D7”と入力します。次の第三小節は”Gm7”を入力します。これでキーGmのマイナーii-v-iのコード進行が出来ました。

コード入力画面 01 コード入力画面 02

不要な小節はShiftキーを押しながら複数選択して右クリックで削除を選び削除しましょう。これで再生ボタンを押せば入力したコード進行でバッキングトラックが再生されます。再生時のプレカウントやループの有無も選択することが出来ます。

音源を変更してみよう

JJazzLabでは様々なジャンルのバッキングトラックを生成できます。楽器やリズムやジャンル等の音源の選択は”Rhythm”を選択することで行います。JJazzLabではYAMAHAスタイルデータをRhythmとして読み込むことが出来ます。プリセットとして付属しているRhythmの他に有償、無償でインターネット上で配布されているYAMAHAスタイルデータを追加して使うことも出来ます。今回はプリセットのRhythmから選んで使ってみましょう。

ソングを選択した状態で「ソングパート」タブを選択します。するとRhythmの選択画面が出るので好みの音源を選択します。今回は”EasyAcidJazz”を選択します。

音源選択画面 01 音源選択画面 02

音源を追加してみよう

JJazzLabでは前述の通りYAMAHAスタイルデータ(.sty、.prs、.stなど)および拡張スタイルデータ(.yjz)をRhythmとして利用できます。YAMAHAスタイルファイルはネット上でも有償、無償で配布されいますし、自作することも可能です。もしプリセットのRhythmで満足できない場合は追加しましょう。Rhythmを追加するにメニューバーの”Tools” -> “Options…”を選択してRhythmsタブを選択します。この画面で”Add Rhythms…”ボタンを押してファイルを選択すれば追加出来ます。

音源追加画面

1400曲以上のJazzスタンダードのソングファイルをダウンロード可能

JJazzLabのリソースページには1460曲のJazzスタンダード、400曲のPOPSなどのJJazzLab用のソングファイルが配布されており、これらを利用することで自分で入力することなくすぐに演奏をすることが出来ます。

使ってみた感想

エレキギターをオーディオインターフェースでPCに接続し、Guitarixで音作りをしている筆者にとって、デスクトップ上で動作するソフトウェアでバッキングトラックが気軽に生成できるJJazzLabは本当に使い勝手の良いソフトでした。JazzやBluesなどのアドリブ演奏を練習しようと思っている人にとっては本当に素晴らしいソフトウェアであると思います。しかもこれだけの機能があり無料で使えるということは開発者に感謝してもしきれません。筆者はJazzのアドリブやスケール練習のためにJJazzLabを利用しています。

また、ネット上にあるYAMAHAスタイルファイルを利用することで音源を増やすことができる点も魅力的です。MIDI出力することでDAWとの連携も可能です。市販品のBand in a Boxほど多機能ではないですが、十分にアドリブ練習に活用できるアプリケーションであると思いました。

最後に

Linuxで”Band in a Box”のように手軽にバッキングトラックを作成できるアプリケーションを探し、JJazzLabを見つけました。Linuxデスクトップをお使いの方でバッキングトラックを流しながら演奏の練習をしたいと考えている方はぜひJJazzLabを使ってみて欲しいと思います。この記事があなたのLinuxライフを豊かにできれば幸いです。